忘れ言葉

夕暮れの冷たい風
頬をさし
身も心も錆(さび)てしまったから
一杯のコーヒーを 飲みたくなるの

セピアの木立ち
はためき はためき
後髪に束ねた想い出
影ぼうしが追いかけてくる
外はもう 秋らしい

季節重ね 過ぎゆくままに
時は忘れ言葉 探し出す

住み慣れた 都会(まち)の風景(けしき)
やさし過ぎ
心漏らす 理由(わけ)もなさそう
掌に残るのは 北行き切符

コスモスの咲く朝
似合いの旅立ち
燃える愛の 予感たよりに
コートの襟立て 歩き出すの
振り返りはしないわ

季節重ね 過ぎゆくままに
時は忘れ言葉
季節重ね 過ぎゆくままに
時は忘れ言葉 探し出す
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