氷の墓標

星のない夜に光る
流線を描いて行く二人の残像

競うように風を切る
行く先も告げず走り続け

辿り着いた地 凍える森の中を歩く
君に逢わせたい人がいると連れ出され

樹氷の門は開かれて向かい合う
我が御母(みおも)は美しいままに眠る
今にも目覚めそうで その唇はそっと微笑みかけてくれる気がした

君の父の遺言だった 時が来たら話す約束を

月が消えそうなあの日
君の誕生と引き換えに

震える手で小さな命を抱いた後に
永遠へと発った 変わらぬ姿が君を待つ

樹氷の門は開かれて向かい合う
我が御母(みおも)は美しいままに眠る
今にも目覚めそうで その唇はそっと微笑みかけてくれるような

夢の中で何度見たことだろう
霧が包みどうしても思い出せず
微かなぬくもりだけ忘れることは決してなかった それが愛と今知る

そうまるで白き薔薇のよう
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