ふるさと抄

蚊帳(かや)に 蛍をあそばせて
いつしか眠った 子供のころよ
母の豊かさ 江の川(ごうのかわ)
父の面影 浅利富士
あゝあの山が あゝこの川が
わたしを育てて くれました

妻となれずに 泣いたのも
いまから思えば 運命(さだめ)でしょうか
ひとり東京(みやこ)の せつなさに
拝啓ふるさと おかあさん
あゝ書きかけの あゝ便箋を
いくたび破いて 捨てたやら

歌に 人生おきかえて
しあわせ探しの 恋うた唄う
こゝは泣き砂 琴が浜
きょうは笑顔で 砂をふむ
あゝふるさとよ あゝ有難う
帰って来ました ありがとう
×