ひとり暮らしとその反動

連休だっていうのにひとり
どーせ、連休じゃなくてもひとり
食べ残したゆうべのチキンの脂が酸化して
部屋じゅう肉のにおいがする
捨てなくちゃ捨てなくちゃ でも
昼間ゴミ捨てると管理人がうるさい
ここに越してから居心地が悪くて萎えてる
それに、コンビニまで10分も歩く

誰か電話して電話してよ
5分でいいから

下着姿でベランダへ出る
細いタバコに火をつけ気分でふかす
軽く鼻歌まじりで踊ったら
向かいのオヤジが咳ばらい

上京して、ひとり暮らしして
ラクに生きている 日々に溺れながらも
寂しいんでしょ?
すごく寂しいんでしょ?
なのに あんまり痛くないのは
麻痺してるのかな

連休だっていうのにひとり
どーせ、連休じゃなくてもひとり
ついに、かかってきた電話の声の主は
親以外の何者でもなし
「そろそろ、もどってくれば?」と母さん
「いいかげん落ち着きなさい」と母さん
おまけに「いいヒトくらいはいるんでしょ?」だなんて
電波の悪いフリをして切ろう

会社でもあたりさわりのない
地味なキャラからすこし抜け出したいのに
自信がないの?
自身がないの?
いつも生きてる実感なんてなくて
流されるだけ
上京して、ひとり暮らしして
ラクに生きている 日々に溺れながらも
寂しいんでしょ?
すごく寂しいんでしょ?
なのに あんまり痛くないのは
麻痺してるのかな
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