勘太郎笠

伊那を背にして 天竜下りゃ
やくざ渡世の しぶきがかかる
義理だ意地だの その裏で
かくす合羽の しのび発ち
先も見えない 先も見えない 急ぎ足

笠にしぐれて 枯葉も泣いて
胸にわが子の 笑顔が浮かぶ
表通りを はじかれて
行けば谷間の 岩かげに
命やすらぐ 命やすらぐ 水の音

月もかくれた 峠の宿場
明日はいずこの いずこの空か
思い叶わぬ 世の中の
愚痴や未練は 振り捨てて
流れながれの 流れながれの ひとり旅
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