男の帰り道

たとえばそれが 夜更けなら
男は 心の 淋しさを
浮かれた街の とまり木に
そっと今夜も 捨てに来る
ひとつ覚えの 唄でいい
酒の力を 借りていい
酔ってしみじみ 歌う時
明日の夢が 見えるなら
男ひとりの 帰り道

たとえばそれが 日暮れなら
男は 心の 悲しさを
過ぎた昔の 恋にかえ
想い出橋に 立ち止まる
淡く終った 愛でいい
胸を痛めた 女(ひと)でいい
そっと名前を 呼んだ時
何かが熱く たぎるなら
男ひとりの 帰り道

つくり笑いの 顔でいい
一夜(ひとよ)限りの 嘘でいい
心の荷物 重い時
話し合わせて くれるなら
男ひとりの 帰り道
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