時雨の半次郎

人の浮世を 二つに裂けば
野暮な掟の岐れ路
義理に生きるか 情けに死ぬか
無駄にゃしないさ 命は一つ
俺は時雨の半次郎

越える信濃路 飛ぶ上州路
飛べば近づく 江戸の空
どこに在すか 瞼のお人
遇えば捨てます 一本刀
俺は時雨の半次郎

人の情けに 掴まりながら
泥が洗えぬ 旅がらす
咲いた春から 萎んだ秋へ
花もいつしか 時雨に消えた
俺は時雨の半次郎
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