海峡

死ぬか生きるか 沈むか浮くか
崖を背にした 女がひとり
渦で占う 人生は
北へ進めと しぶきも叫ぶ

来いと言われた わけでもないが
潮の香りは 男の匂い
胸に切ない 海峡の
風は女を また吸い寄せる

泣くか笑うか 祈るか待つか
暗い波間に 女はひとり
なげたコインに しあわせを
賭けて求めて 海峡わたる

汽笛ならして 行き交う船に
乗せた運命を 悔みはしない
結ぶすべなく すれちがう
愛も涙に 咲く花だから

来いと呼ばれた わけでもないが
潮の香りは 男の匂い
胸に切ない 海峡の
風は女を また吸い寄せる
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