おふくろ

おふくろの涙を初めて見たのは
十五の時の冬の夜
ふるさと離れる 身仕度荷造りの
手の上ぽたりと 落ちたしずく
思い出したら つらくても がまんができた

おふくろの匂いに初めて気づいた
二十才もすぎた 秋の宵
届いた小包み 綿入れ半てんに
添えてた手紙の かなくぎ文字
ひざをかかえて 泣いたけど 元気がわいた

おふくろの背中が小さくなってた
ふるさと帰った 歳の暮れ
苦労ばかりの 人生だったけど
長生きしてくれ できる限り
おれがこれから 親孝行 願いはひとつ
×