連絡船の女

涙抑(おさ)えて 桟橋(さんばし)行けば
ひびくドラの音(ね) 夜風の寒さ
せめて投げよか あの日の人に
青いテープの 一筋を

花の都の 思い出秘めて
ひとりはるばる 旅行く今宵
胸の傷手(いたで)に 連絡船の
むせぶ汽笛よ 散るしぶき

暗い波間に ちぎって捨てる
恋の形見の 写真も哀(かな)し
啼(な)くな海鳥 この身の果ては
どうせ流れて 消える星
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