北の嫁っこ

地鳴りが戸板を 叩くから
浅い眠りに 夜明けも遠い
待ち火を燃やして あと三月
ひとりでお父(どう)の 帰り待つ
アイヤー無事でな 会いたいよ
指折り数える 嫁っこにゃ
長いのさ…
酒の匂いを プンプンさせて
夢でも寝床に 来ておくれ

吹雪が夜道を 走る頃
町で働く 男の苦労
思えばひと冬 寂しさも
こらえてなんとか 暮らすのさ
アイヤー無事でな 怪我するな
布団をかぶった 嫁っこにゃ
冷えるのさ…
強い力で わたしを抱いて
こごえた月日を 消してくれ

アイヤー無事でな 会いたいよ
無骨なひとでも 嫁っこにゃ
やさしいよ…
土産ぶら下げ でっかい声で
「帰ってきたぞ」と 呼んでくれ
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