城崎の雨

落ち合うはずの この駅に
あの日降りずに 行(ゆ)き過ぎた
雨の痛さに 耐えるよに
お前は俺を 待っていた
汽車の 汽車の 窓につめたい
あゝここは城崎 こぬか雨が降る

蛇の目をそっと 差しかけて
いつもお前は ぬれていた
そんな優しさ いじらしさ
どうして俺は 捨てたのか
泣いて 泣いて 泣いているよな
あゝここは城崎 絹の雨が降る

お前とならば 出直せる
見てはいけない 夢を見た
所詮 川面の浮き草は
根っこを張れぬ さだめだろ
濡れて 濡れて 何処へ行こうか
あゝここは城崎 みぞれ雨が降る
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