朱色のレディバード

ほのかに湿気を帯びた風は
迷えるつばくらめへの引力だ
飛び舞う小虫追う力は眩し
保証もない賭け嗜む

艶やかなレディバード
誰の眼にも美しく
艶やかなるレディバード
御国(みくに)傾くでもなし

朱のジャケットに跳ばした乳製品は
カフェの空気を濃くするでもない
伸ばされた手で掴むのは
吐いた煙 悔いの脂(ヤニ)

ああ夜は明日へのウェイティングメード
飲み込んだ言葉を消す
艶やかなるレディバード
御城(みじょう)崩るも虚し

この曇天に迷うつばくらめ
ヒビ割れた高架をくぐる
大人になれば瞳が曇ると
今日も子供の耳を塞ぐのは
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