鬼一口

異里外れの
荒屋に 人喰らう
鬼の 在りという

(座す 座す 座す)驀然
(座す 座す 座す)独行
(座す 座す 座す)辣腕
(座す 座す 座す)べっかっこう

電光石火の 早業に たじろぐ
聲すら 喰らいけり

(座す 座す 座す)驀然
(座す 座す 座す)独行
(座す 座す 座す)辣腕
(座す 座す 座す)べっかっこう

戦く 刹那に
鬼が嗤う 響動めく
間も無く 鬼が屠る

あな憂や いとも あられ無き
末期劫火で
炙る 拷と 比ぶれば
許りか 寧ろ
未練など 無いも もう直
我を 噛砕が 攫う

宛ら 牙の
尖どさときたら 襤褸の
如く 肉を
引き裂こう 恐れる 胸が
早鐘を 鳴らし
死に逝く 我を 恐悸へと
攫う

戦く 刹那に 鬼が嗤う
響動めく 間も無く 鬼が屠る 蠢く
刹那に 鬼が嗤う 阿と吐く 間も無く
おくびと化す
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