金属バット

幸せと不幸せを紙コップに入れて 割り箸でかき混ぜて
吐き気をこらえて一気に飲み干した
ねえ神様 喜びと悲しみをせめてかわりばんこにしてくれよ
僕はうすうす気づいてるぜ あんたはいないんだ

「楽になれよ」とささやく声
「耳を貸すな」と怒鳴り声
勝手にしやがれと見上げた空は青、殺したいくらいに‥‥

野に咲く花にカメラをかまえれば
「そんな事をしたら、散る事ができないじゃないか」だとよ
きれいごとはうんざりだ
「くそったれ!」ふすまを殴りつけ
貫いた拳の先に暮らしがへばりつく

優しさを漁る両手と
立ち上がる事を拒む両足
ぶざまな泣き顔で見上げた空は青、殺したいくらいに‥‥

金属バットを振り上げる 青年の影がゆれる
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