品川心中

飯盛(めしもり)の宿品川の
朝は衣々(きぬぎぬ) 山は富士

ええこちゃエー ええこちゃエー

お染太夫の巻き紙の
添います主(ぬし)とあらかしこ

有り難や 有り難や

年季(ねん)が明けたらご新造に
夫婦善哉 デデレコデン

芝の本屋の金蔵は
身上軽けりゃ身も軽い

ええこちゃエー ええこちゃエー

沖つ白波見目に皺(しわ)
回る金子(きんす)もお茶を挽く

往生や 往生や

生きて浮き名が立つじゃなし
おその六三か ナンマイダ

春の海に小舟がぷかり
人は生まるる時はひとり
手に手 取り合うならばふたり

さあ 海へ 海へ 参りまほう

西の空に奴凧(やっこ)がふわり
人は死にゆく時もひとり
目と目 互いに瞑(つぶ)るふたり

さあ 海へ 海へ 入りまほう

目出度目出度の白無垢は
死出の旅路の左前

堪忍や 堪忍や

世帯持ちたやあの世でも
蓮の台(うてな)で トテリンシャン
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