人想い

お前のやさしさ 体に感じて
目覚める朝に いつかあこがれて
暮し始めた――
慣れない顔して 今夜のお前は
せいいっぱいに 大人ぶってみせる

与えられる物は 唯夢一つだけれど
飛翔け高く 夜空に舞い上がって
心満たせ――
お前が居るから もうこれからは
寂しさ一人 怯えることはない

抱きしめたら顔をあからめて
指を絡ませ思わず笑い出した

お前の親父の残した言葉は
やさしさだけで この娘 あたためられる
ものかと――
黄昏広がり 影が寄り添う
悲しいことを忘れようとして

死んだ親父の夢に泣き出した
言葉にならない慰めの一言
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