悲しみが瞳にしみる

九月の地平線に刺(さ)さる飛行機雲
逆光並んだ影
空仰いだまま
黙り込むたびに哀しさが深くなるね

他人(ひと)が思うほどに強くはないから
涙隠したサヨナラなど
言えやしないさ

夢を見られなかった自分の分まで
夢を見てねと
震える声背中刺したよ

悲しみが瞳(め)にしみる
俺の心を引き止めぬよう
ひとりお前は髪を黙って切ったのさ

理由(わけ)さえ知らずにただ反抗(いらだ)って生きてた
あの頃お前なしじゃいられなかったよ
何をあやまればいいのだろう
愛を棄てて

男らしさという馬鹿げた呪文に
縛られてた俺抱いてくれたね
優しい女(ひと)

心配いらないよと微笑(ほほえ)んだままで
うつむく切ない白いうなじ
秋の気配さ

悲しみが瞳(め)にしみる
空に消えてく飛行機雲
「淋しくなる…」と最後にそっとつぶやいた

悲しみが瞳(め)にしみる
泣きたいくらいいい女(ひと)すぎて
背中向けるよ
悲しみが瞳(め)にしみるから
×