おぼろ月夜

菜の花畠に 入り日薄れ
見わたす山の端(は) 霞ふかし
春風そよ吹く 空を見れば
夕月(ゆうづき)かかりて 匂い淡し

里わの火影(ほかげ)も 森の色も
田中の小路(こみち)を 辿る人も
蛙(かわず)の鳴く音(ね)も 鐘の音(おと)も
さながら霞める おぼろ月夜

春風そよ吹く 空を見れば
夕月かかりて おぼろ月夜
×