棚田しぐれ

夢を積み上げ 苦労を重ね
山の棚田の ふるさと景色
遠く数える 田毎(たごと)の月に
浮かぶ想い出 あのおもかげが
瞼濡らして 露しぐれ

夕陽ばかりか 心もしずむ
山の棚田の 峠を越えて
嫁に行ったと あの娘のうわさ
恋の傷あと つついて泣かす
笹の葉に降れ 畔(あぜ)しぐれ

渡り鳥でも 一羽じゃ飛ばぬ
山の棚田の 夜風にひとり
俺も人の子 涙がでたら
汗のふりして こぶしで拭くが
なにでぬぐうか 胸しぐれ
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