水面(みなも)に浮かぶ春の富士
一人の漁師がえも言えぬ
香りに惹かれ誘われる
浜辺の松の枝の先
きらめく十色の衣あり

誰かの忘れ物だろか
世にもまことに美しい

はらはらり はらはらり
どこからともなくあらわれた
若き天女(てんにょ)の舞い踊り

それはこの世のものでなし
天人(てんじん)の着る羽衣(はごろも)ぞ
国の宝にいたしましょう
いいえ衣をなくしては
私は天に帰れない

三保にはためく神衣(かみごろも)
世にもまことに美しい

はらはらり はらはらり
どこへともなく舞い上がる
若き天女の艶姿(あですがた)
×