あんず あんず
あんずよい娘(こ)じゃ泣くんじゃないよ
先様(さきさま)はお大尽(だいじん) 心配いらぬ
着物も草履も襟巻(えりまき)さえも
買うて下さる エー お前には

あんず あんず
あんず厭やじゃと我が儘云うな
かずら橋渡ったら この母呼ぶな
呼んだら涙でその目が痛む
山で父御(ててご)も エー 泣きなさる

あんず あんず
あんず杏を袂(たもと)に詰めろ
その種は咳どめじゃ よく効く薬
お前の持病にゃ粉ひき唄が
一等(いっと)良いけど エー 儘ならぬ
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