EIGA

虹のむこうから
月の裏側まで
僕は見てきた
この目で見てきた

空の天井から
海の切端まで
僕は旅した
この足で旅した

千の焼け落ちる屋根を
切り裂かれる人々を
僕は焼きつけた
この目に焼きつけた

死ぬほどの痛みを
息が止まる苦しみを
僕は味わった
この身で味わった

静かに僕は席につき
光の羅列を眺めてる
隣で君は眠そうに
欠伸を噛んで目をこすってる こすってる

君は見たことあるかい?
変わる季節の色を
君は聞いたことがあるかい?
巡る風の音を

僕は知らなかった
こんなにも近く
僕は気づかなかった
こんなにも遠い

静かに君は席を立ち
出口の方え歩いてく
ひとつ伸びをしてゆうのさ
つまらない映画だったねと
だったねと

宇宙のはじまりから
星の終わりまで
僕は見てみたい
まだ見足りない

土星の輪をくぐり
ブラックホールに吸いこまれて
僕は戻ってきた
僕は帰ってきた

幕が開いて
音楽が流れ
スクリーンにストーリーが動きだし
映画がはじまった
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