帰郷

霧にだかれた 夜汽車から
柚子の花さく ふるさとの
ちいさな駅に 着きました
二年ばかりの 東京ぐらし

こころけずって あなたをおもい
たったひとりで くるしみました
疲れたわけじゃないけれど
部屋に帰って 投げだす鍵の
つめたい音が つらかった

いえにかえれば 速達で
忘れたはずの あなたから
やさしいたより ありました
三日前には つめたい言葉

浴びたことなど 忘れてしまい
思わずてがみ だきしめました
戻れぬわけじゃないけれど
ひとにあったら 背中をむける
あなたの嘘が つらかった

こころけずって あなたをおもい
たったひとりで くるしみました
疲れたわけじゃないけれど
部屋に帰って 投げだす鍵の
つめたい音が つらかった
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