彼と彼女のソネット

今の私達をもしもなにかにたとえたなら
朝の霧のなかで道をなくした旅人のよう

いくつもの偶然からあなたにひかれてゆく
星は瞳に落ちて
いくつもの夜を超えて渡った時の迷路
解きあかしてきたのに

おおきなあなたの胸ひとりはなれた木の葉のような
心ささえたまま かわいた風は私を運ぶ

君は そう いつのまにか知ってる
僕をこえて歩いて行けることを
懐かしい白い指に触れても
ほどけてゆく 遥かな愛の思い

こんなに近くにいてあなたが遠のいてく
足音を聞いている

もう一度いそぎすぎた私を
孤独へ帰さないで
いつまでもあなたのこと聞かせて
愛をあきらめないで
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