湯の里慕情

情けふた山 深山(みやま)を越えて
知らぬ他国の いで湯町
どんな暮しか しあわせか
宵のしぐれが 降りこむ宿の
窓にいとしい 面影が

秋の終りの この底冷えが
そぞろ歩きの 身にしみる
栄通りは 名ばかりで
手もちぶさたの 赤ちょうちんが
雨と湯の香に 濡れて泣く

あても頼りも はかなく消えて
ひとり湯船の 雨上り
肌とこころを ぬくめたら
夢をつなごう 男の旅に
めぐり逢いする その日まで
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