ほおずき

花びらをそっとしまうように夕凪は来る
午後の半分を濡らした雨のその後に

鮮やかに紅く君の頬を染めたほおずき
にぎわう通りで僕が初めて恋に落ちた色

夏はその美しい力で
幼さない僕たちを永遠にした
恋のその美しいしくみは
一瞬の夢の夢 神様といた時

幾つかの川を渡ると海も見える
恋の幼さばかりが残るこの街を

涙流さずに魔法を解いて僕はゆく
懐かしく華やぐ通りを染めているのは

ほおずき
ほおずきがさよならと
解けてゆく魔法のまぎわ
もう行かなくては

夏の美しい光
僕がもう暮らすのはここじゃないけど
愛の美しいしくみ
すべては祝福と 今ならわかるよ
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