祖谷の女

ギーコンサッサ 紙すく音が
山に谷間に 流れてく
水も冷たい この山里で
若い娘の 細い手で
手透(す)きの和紙の 一枚に
心を込める 祖谷(いや)の女(ひと)

クルクルクルリ 糸まく音が
渓(たに)の吊り橋 渡ってく
霧に霞(かす)んだ この山里の
若い娘の 夜(よる)仕事
思いの糸の 一本に
命を紡(つむ)ぐ 祖谷の女

~祖谷のかずら橋しゃー蜘蛛(クモ)の巣(ゆ)のごとく
風も吹かんのに 揺ら揺らと~

キンコンカンと 木こりの音が
山の峰々(みねみね) こだまする
緑一色(ひといろ) この山里は
好きなあの人 去(い)った今
願いを込めた 紙と糸
想いを綴(つづ)る 祖谷の女
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