くだらない唄

得意の絵を描いてあげる 僕の右手と水彩絵の具で
丘の花は黄色にしよう その方が見つけやすいから

三日月が光る頃この絵と同じ丘で待ってるよ
明日僕らは大人になるから ここで思い出を作ろう

神様 見わたす限りに きれいなタンポポを咲かせてくれ
僕らが大人になっても この丘を忘れぬように

指切りをしよう 僕らにシワが増える前に
十年後の同じ日に またここで一緒に絵を描こう

今夜中にこの丘を僕の右手と絵の具でとじこめる
十年後の同じ日までに ネクタイで迷わぬように

神様 小さな二人に 今夜だけ魔法を唱えてくれ
僕らが大人になっても この丘を忘れぬように
少しだけ僕はせきをして 最後のひとふでに願いを込める
となりで貴方はうつむいて タンポポでかんむりを

目が覚めれば…

神様 僕は震えてる 背広もネクタイも見たくないよ
T シャツに昨日しみこんだ タンポポの匂いが忘れらんない
昨日の丘で一人きり 貴方が来るのをひたすら待った
来るはずないよ わかってた 僕はまだ震えてる
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