望郷おとこ笠

風に転がる 落ち葉の果ては
どうせ浮き世の 吹き溜まり
俺のあしたを 見るようで
ふっとそらした この目の先に
いろはもみじの 赤城山
追分ひと節 望郷おとこ笠

母という字を この手のひらに
なんど書いたろ 詫びたろう
行けば真っ直ぐ 行けたのに
拗ねて曲がった この脇道が
今じゃ似合いの 旅がらす
追分ひと節 望郷おとこ笠

何処で生きても いのちは一つ
枯れりゃ路傍(ろぼう)の 石になる
通り雨には 泣かないが
三日しぐれりゃ わらじの紐が
濡れてあしたが 遠くなる
追分ひと節 望郷おとこ笠
×