愛のかげろう

窓をゆさぶる 海鳴りは
未練ごころの 叫び声
乱れた髪を なおせば他人に戻る
濡れた素肌を 重ねても
なぜか心は 寒いまま
愛されたのは まぼろしですか?
あなたは 陽炎(かげろう)

熱くゆらめく 逃げ水に
そっとこの身を 投げたいの
あなたに溺れ 死ねたら倖せだから
何もいらない 今夜だけ
帰らないでと 泣きながら
手を伸ばしても すり抜けてゆく
はかない 陽炎

合わせ鏡の 哀しみは
憎さ恋しさ うらおもて
約束なんて 男のずるさの一つ
逢えば逢うほど 逢いたくて
夢の終わりが こわいから
愛することは まぼろしですか?
あなたは 陽炎
×