たばこのけむり

「ちょっと火をかして頂けません?……
有難う……」

煙草のけむりが紫色だった
恋を知った夜
その次の朝はけむりは青かった
私は泣いていた
煙草のけむりはやがて赤く映えた
暖炉の火のそばで
はげしくふるえてあの人を求めた
私のくちびる

煙草のけむりが想い出をさそう
心の傷痕
色あせたけむり煙草の吸殻
私のなきがら
むなしく求めるゆきずりの恋に
破れゆく夢
この世の片隅で小さな火が消えた
煙草の火が消えた
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