カーブミラー

用水路に沿って続く8月の
日影から飛び出せず息を詰まらせていた
他愛もないはずの道の白線に
ふっと湧いたためらいの言葉を浮かべてみれば

カーブミラーに歪んで映る僕の全身は頼りなく
いろんな言葉を並べ立て君を失っていく
何かを知っている町の子供が無垢な頭を引っ込める
虹色の光の輪に包まれセダンが横切る
アーチを描く残像に僕は手を掠めた。

どこかに隠した答えを探すために
ブックセンターの椚を見回しお腹が痛くなる
持っているだけの秘密は明日を拒む
眠れない夜に当てずっぽうな道を選ぶように

瞳のなかに映っている空のパノラマは僕を待ちわび
君にうまく言えない曲がり角で眺めるだけさ
何かを知っている町の子供は雲足を追いかけていく
とどまる空が僕を見つめた。

東空に見透かされた迷いを今手に取れば
逆さまの気持ち まるで鏡の向こう

カーブミラーに歪んで映る僕の全身は頼りなく
いろんな言葉を並べて君を失っていく
何を知っている町の子供はあの頃の僕に似ている
虹色の光の輪に包まれセダンが横切る
アーチを描く残像に僕は手を掠めた
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