お引越し

明るい気分と共に目を覚ます
天候はおそらく午後から崩れる
窓際でずっと空元気を振りまいては
今日のこともすぐに忘れてしまうよと野良猫に話す

切り絵のような町を抜けて
ああ、僕は寂しさを素手でぐっと遠ざける

紙袋をいくつも持って届けるものを届けて
新しい町へ向かう僕を乗せた車の窓ガラスに雨が降る

近頃の僕はいつもにわか雨
投げやりを涙を手の甲に溜めて
例えば夕飯を嗅ぎ分ける子供のように
君に願いをすべて言い当てていればここにはいない

困り顔の月のシルエット
ああ、二股の路地が僕にそっと問いかける

取り外し出来ない夢 少し他人に任せて
身にまとえるような気持ちを買い揃えては鏡見て口籠る
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