結婚する気もないのに

風に追われるように
足早に歩く
通いなれた坂道は
お前のうちへつづく
ときおり春の強い風に
行く手をさえぎられ
頬をゆがめながら
お前のもとへ急ぐ
結婚する気もないのに
俺は恋人きどり
甘えて寄りかかれば 当然のように
お前を抱いてしまう

長すぎるお似合いね
女の大事な時期が
過ぎてしまうわとお前は
ひとりごとのように言った
俺もボンヤリ言ったよ
お前を抱きながら
まるでかげろうのように
いつまでこうしてるんだろう
結婚する気もないのに
長すぎる春さ
けだるいこの季節は どこまでどこまで
つづいて行くのだろう
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