最後の夜明け

闇が溶け始めて 星が宙(そら)に帰る頃
埠頭に寄せる波音に ため息を重ねて

少し窓 開けたら せつない夏の匂いがした
サイドシートの君が うつむいたまま 呟いた

「これで最後かもしれないね…」って君は
声を震わせながら
僕は 君に少し背を向け 唇噛みしめてた
どうして どうして…

離れて暮らしても 想いは伝え合えると
言えた若さを悔やんだら すべてが嘘になる

あの頃よりずっと 綺麗になったその横顔
僕の記憶の中で 永遠になる 現在(いま)のまま

「きっと 誰のせいでもないよ…」って君は
壊れそうな笑顔で
いつも 失ってから気づくのは 一番大切なもの
もう一度 もう一度…

何もかも 置き去りに 追いかけてた夢
それぞれの イタミに 目を背けて
こんな哀しい 夜明けが来ると
僕たちは気づかないで

「これで最後かもしれないね…」って君は
声を震わせながら
僕は 君に少し背を向け 唇噛みしめてた
「きっと 誰のせいでもないよ…」って
君は 壊れそうな笑顔で
せめて 朝焼けが終わるまで 幸せを願えるまで
このまま…
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