襟裳岬

北の街ではもう悲しみを暖炉で
もやしはじめてるらしい
理由のわからないことで
悩んでいるうち老いぼれてしまうから
黙りとおした歳月を
ひろい集めて暖めあおう
襟裳の春は何もない春です

君は二杯めだよねコーヒーカップに
角砂糖ひとつだったね
捨てて来てしまった
わずらわしさだけをくるくるかきまわして
通りすぎた夏の匂い
想い出して懐かしいね
襟裳の春は何もない春です

日々の暮しはいやでもやってくるけど
静かに笑ってしまおう
いじけることだけが
生きることだと飼い馴らしすぎたので
身構えながら話すなんて
あゝおくびょうなんだよね
えりもの春は何もない春です
寒い友だちが訪ねてきたよ
遠慮はいらないから暖まってゆきなよ
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