星空の地下鉄

僕が乗った地下鉄は星が見えない
暗闇をずっとずっと走って行くだけ
(君はさっき降りたんだね)

6人の乗客はみんな無口で
目が合うと気まずそうに視線をはずすよ
(君は先に降りたんだね)

もう少し僕に勇気があったならば言えたのに
のみこんだ言葉をいちばん言いたくて君に会ったのに

僕が乗った地下鉄は踏切りがない
誰かを立ち止まらせる遮断機がない
(君はだから気づけないね)

網棚に残されたスポーツ新聞
首かしげ止まったままの小さな扇風機
(君はきっと気づかないね)

僕が乗った地下鉄は星が見えない
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