あとがき

夕陽が線路に向かって沈む頃
疲れた足取り
急がせていたのは
君のあたたかな言葉を
知っていたからだろう

許しあえた心が崩れた部屋に
残されてたのは
小さな合鍵ひとつ………

テーブルクロスに薄く残る染みは
二人で暮らした
僕への忘れ物
時がゆけば慣れてしまう
それに気づいていれば……

それは過ぎた二人の終わりに書いた
“あとがき”にも似て
淋しくなるだけ
今も振り返ればあの頃は
僕のうしろで
暮らしていたのさ君は……
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