黒い天球儀

誰かの怒りを垂れ流したようなまっ黒い空のミッドナイト
いつまで待っても出て来ない星に天球儀も黒いまま

のろのろ巡る鈍足の世界は言葉だけが俊足
ぶつからないように辺りを見ては止まって怯えて縮こまる

見たい星があるくせに 黙ってじっと動かない
回してくれる手がないと 動けないとか言い訳すんじゃない

回れ天球儀 その細い軸
出せる限りの速さで生きてけ
あがく遠心力を見せてくれ
限界値を裏切れ

誰かの怒りに待ったをかけて動き始めたミッドナイト
真実だけを指し示していく天球儀で僕はいたい

見たい星があったのに 別の誰かに譲るんだ
優しさなんて言い張って 泣くぐらいならどうぞと言うんじゃない

回れ天球儀 その細い軸
出せる限りの速さで生きてけ
錆びる瞬間さえもひた拒め
捻じ切れるまで加速していけ

いつか吐き出す最後の一呼吸が ためいきで終わってしまわないように

天球儀 僕が見たいびつな天体を叩き出せ
黒い天球儀 その身体中 規格外の星座をぶちまいて

回れ天球儀 その細い軸
出せる限りの速さで生きてけ
あがく遠心力を見せてくれ
あの日自分で引いた 限界値を裏切れ
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