海猫

海猫が啼いて 今日も雨降る
港旅館に 夜霧がかかる
宿帳めくって
名前さがす女
どこかふしあわせ 出船を
送るこころのブルース

ひとり飲む酒を 買いに来たのに
船を見ている まっくら波止場
あたしを見捨てた
男なんか忘れ
胸に霧笛の桟橋
ひとの一生出船よ

ひとさし指から
しあわせが逃げる
沖で死にたい 死ねない
喘(わら)って啼いた 海猫
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