ひと房の葡萄

ひと粒(つぶ) ひと粒に 愛を熟させて
通りすがりの誰かを待っている
枝もたわわの ひと房の葡萄

都会は薄墨色(うすずみいろ) そんな黄昏(たそがれ)だけど
いつか見たあの青い空を
忘れてしまったわけではないわ
いやなことも それなりに
握りつぶすコツを覚えて
急がないで生きて行くわ
ひと粒 ひと粒を 熱い唇で
頬ばってくれる あなたを待ちわびて
涙ぐんでる ひと房の葡萄

涙は隠さないわ 誰に見られてもいい
強がりなんかみんな捨てて
可愛い女でいつもいたいの
きれいごとを並べても
人はこころ開かないから
飾らないで ぶつかるだけ
ひと粒 ひと粒に 愛を熟させて
通りがかったあなたの肩先に
落ちてみせるわ ひと房の葡萄
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