春恋のれん

花も遅咲き 北国だから
いつも心は 冬景色
せめて指先 だけでもいいの
あなたあなた やさしく てのひらで
寒いだろうと 暖めて
酒も人肌 春恋のれん

わざとお猪口に 口紅つけて
ひとり呑んでた ふりをする
肩と背中が さみしい夜は
あなたあなた 上衣(うわぎ)を 着せかけて
夢をつつんで ほしいのよ
名残り雪降る 春恋のれん

白い徳利を 一輪挿しに
赤い造花の 寒椿
嘘も悲しい 本当も辛い
あなたあなた 信じて いいですか
うれしがらせた まごころを
遠い足音 春恋のれん
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