マダム・エドワルダ

飾り窓から
涅槃が見える
虚無と脂粉の
曼陀羅絵巻

ベッドを脱けて
扉を開けて
車に乗って
夜露を抱いて
下着になって
淫らになって
突っ疾れ
絶望を

おぉ マダム・エドワルダ
おぉ か弱き人よ
おぉ マダム・エドワルダ
おぉ か細き腕に
愛を抱け

月の砂漠に
後光が灯る
聖と俗との
金襴緞子

コートを脱いで
帽子を取って
ワインを開けて
愛撫に酔って
裸になって
子供になって
駆け抜けろ
喧騒を

おぉ マダム・エドワルダ
おぉ 寂しき人よ
おぉ マダム・エドワルダ
おぉ 乱れた髪で
夢に落ちろ

空を行く雲は
好きに変わるのよ
蝶になり
花になり
雨になり
風になり

空を飛ぶ鳥は
好きに行けるのよ
海を越え
山を越え
夜を越え
時を越え

ルージュを引いて
睫毛を巻いて
鏡に立って
ポーズを取って
綺麗になって
女神になって
飛んで行け
暗闇を

おぉ マダム・エドワルダ
おぉ 悲しき人よ
おぉ マダム・エドワルダ
おぉ 可憐な指に
明日を掴め
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