DELUSION

いつも途中まで 憶えていたもの
家に着いたら 忘れてしまった
何も思い出せないまま

ほんの少しなら 自分のことも
わかる気がした けれどそれよりも
今は眠らせてほしいんだ

始めから色のついた
眼鏡をみんな放り投げて
どんな時も 真ん中にある
変らないもの 失くせないもの

いつも帰りには ひとりになった
行きは多勢で にぎやかな声に
つつまれていた気がした
夜の公園で ひとりつぶやいた
声が消えたら くらい砂場が
ほのかに光った気がした

まっすぐ前を見られない
うしろには何もない
はぐれた場所を 見付け出したら
あっけないほど 近くにあった
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