一葉恋歌

闇にさえ 桜は咲いて
散らして散らない恋ごころ
慕(した)ってははげしく厭(いと)い
火のような通り魔がゆく
ぼんやりと紅灯(あんどん)ながめ 文綴(ふみつづ)る
一葉―――丸山福山町

その身体 任せてくれと
露骨(ろこつ)に言い寄る人がいた
貧しさに明けくれ泣いて
身を削りこの世を生きる
塵(ちり)の中賑(にぎ)わい哀し 花街の
本郷丸山福山町

いつの日か みどりの野辺を
そぞろに歩いておいでなら
その袖にまつわる蝶は
まだ慕(した)う化身(けしん)のわたし
微笑みもやつれて病んで 絶えだえに
一葉―――丸山福山町
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