前夜

いつも憂鬱な会話を繰り返した
同じことを別々に理解して
どれだけ話し合っただろう
どれだけ憎み合っただろう
俺の欲望をしまい込むためには
狭すぎるこの家を明日出て行く
ただの一人の男として
あなたの息子としてではなく
俺の体に二人の熱い血が
流れてるってことは決して忘れない

さよなら父さん
あなたのような男になるよ
さよなら母さん
あなたのような女を探すよ

俺はこの街で市長になるより
大統領になりたかったんだ
あなたが俺を殴った
痛みも持って行くよ
あなたもずっと昔 街を出て
母さんを愛し俺達を育てた
その時のあなたに
今の俺はそっくりなはずだ
二人が俺を息子として
誇りに思ってくれたことは決して忘れない

さよなら父さん
あなたのような男になるよ
さよなら母さん
あなたのような女を探すよ

俺達は互いに不器用なだけだ
距離をおいてでしか愛せなかった
だから何も言わないで
もう哀しむ時なんかじゃない
俺が生まれた朝のことのように
今日のことをいつまでも忘れないで

さよなら父さん
あなたのような男になるよ
さよなら母さん
あなたのような女を探すよ
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