冬酒場

声を出さずに 泣きたい夜は
ひとり一合 だまって二合
胸の奥まで 流し込みゃ
遠いむかしが 顔を出す
なみだ肴に もう一合
男の 冬酒場

誰に気がねも 遠慮もいらぬ
ちょこで一杯 コップで二杯
口に馴染んだ 辛口が
甘くしみこむ 故郷(くに)の酒
雪がやむまで もう一杯
男の 冬酒場

人の情けが 身に沁む夜は
冷やで一本 燗酒二本
昨日と明日の 真ん中で
いのちしみじみ 温め酒
夢の明かりに もう一本
男の 冬酒場
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