お吉花無情

なにを今さら 泣くのはおよし
返る身じゃなし 恋じゃなし
誰に踏まれて 散ろうとままよ
お吉哀しや お吉哀しや おしろい椿

駕籠に揺られて ふりむけば
下田みなとは 雨ん中
一目逢いたい 別れがしたい
幼馴染の 鶴松さんに
なさけ通わす エェ…船もない

死んであの日に 戻れるならば
なんの惜しかろ この命
まわり舞台か 憂き世とやらは
千鳥懐かし 千鳥懐かし らしゃめん月夜

(セリフ)想いだすねェ… 浜田屋の
離れ座敷の あの夜を…
私(あたし)にだって 花も恥じらう16の
そんな昔もあったのに
あれも夢 これも夢 みんな夢なんだ…

いらぬお世話と 火の酒あびて
唄うなみだの 明烏(あけがらす)
今は昔よ おんなの春も
あわれお吉の あわれお吉の 黒髪ざんげ
×