初陣

花の小袖も 前髪も
夢みる頃か 美少年
燃えるかがり火 初陣の
槍をこわきに 月の下
……思うは母か 故郷か

伽羅の香りを たきこめた
鎧にひかる 草の露
眸健気に 噛みしめる
死ねと教えた 父の声
……夜風よ何故に すすり泣く

空に右弦の 月冴えて
嵐の前の 静けさか
明日の生命を ひと節の
笛にたくして 夜もすがら
……あゝ初陣の 美少年
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